古代アトレイアを支配したと言われる龍族の起源については、未だ知られていない。ただし、彼らは他のすべての種を屈服させ、短期間の内に古代アトレイアの支配者となり、世界各地に自分たちの帝国を建設し、華麗なる文明に花を咲かせた。このように強力な龍族の時代を展開させた背景には、覚醒によって再誕生した支配者である五龍帝の存在と、序列に基づく確固たる権力構造があったためである。
五龍帝の首長であり最強のドラゴンであるフレギオンは、全龍族の支配者として知られている。龍族の中で最初に覚醒し、最も高いレベルの覚醒を成し遂げたと伝えられる。また肉体的、精神的にも五龍帝の中でも秀でた存在であったという。一部ディーヴァの主張によると、フレギオンは龍族の力に対する無限の渇望と破壊本能が、いつか自らを破壊に追いやることを警戒するほどの洞察力があったという。しかし、それに関する他の具体的な事実は明らかになっていない。
龍族はフレギオンを頂点とした確固たる序列関係に基づき、長期間に渡って龍族の時代を維持してきた。しかしアイオンを攻略するための千年戦争が成果を成し遂げられないとなると、支配権力の内部が分裂、和平提案を前後してフレギオンの支配力が弱体化し始めたという見方もある。
テオボモス
テオボモスは「神の安息所」という意味である。過去、輝かしい古代文明が根付いた場所だったが、大崩壊時にフレギオンの攻撃を受け、焼けた荒地と化した。今もなお灼熱の大地となっており、フレギオンが吐いた炎が消えずに燃え続けている。
フレギオンの炎でテオボモス全域は大きな被害を受けた
序列2位の龍帝ミスランテイダは龍族本来の強力な肉体的能力の象徴のような人物として知られている。死と恐怖の支配者として知られているが、意外にも決断力のあり話の分かる性格、そして自己の明確な原則から逸脱しないことから、多くの龍族の支持を受けたと伝えられている。
特にミスランテイダは、複数の亜人種を従え、揺るぎない支配力を行使したことが知られている。現存する
レッドドラゴンの祭壇は、彼を宗教的な対象としてみなしたクラルの遺跡で、こうした事実を裏付けている。
ベルテロン ズミオン廃墟
ズミオンは最初に覚醒したディーヴァで十二柱神に次ぐ知恵と能力を持っているとされる。ディーヴァに覚醒することを望む人々はズミオンの元に集まり、キュアウィングとしてアイオンの信仰を極めたズミオンは、司祭としての可能性がある人間を選び、献身の誓いさせた後に弟子に加えた。これに感心したアイオンはズミオンに神殿を立て、ズミオンの力と知恵を分け与えられたズミオン神殿の司祭は、大きな力を享受した。大崩壊以前までアトレイアには数多くの神殿が建てられたが、ズミオン神殿はすべての人間が礼拝する最高の聖地であった。
千年戦争以降、数多くの神殿が龍族の攻撃を受けたが、神聖な神殿を守る司祭と古代人の努力によりズミオン神殿は戦火を避けることができた。しかし大崩壊が発生したその瞬間、ミスランテイダはアイオンの象徴とも言えるズミオン神殿を破壊することを決心し、呪いをかけた。
「ズミオン神殿に永遠の沈黙を!」
呪いの呪文が終わるやいなや、ズミオン神殿にいた信徒と司祭は石像にされ、神殿は水の中に沈んでしまった。
ベルテロンのズミオン廃墟の姿
エレスギガルは序列3位で、龍族の最高の策略家であると同時にフレギオンに匹敵するほどの魔法使いだったといわれている。外部的には冷酷な報復の主導者として知られているが、実際には調和を追求する、理性的な性向を持っていたと伝える。龍族本来の姿と照らし合わせてみると、多少風変わりな存在でもあり、力への欲望を名誉欲に置き換え、自らの名誉を汚すことには強硬な反応を見せたという。
大崩壊の頃にエレスギガルの攻撃で、現在の
ベルスラン西南部の古代都市がすべて凍結したが、これは冷酷な報復の主導者として知られている彼の性格を推察できる事件といえる。
ベルスラン キヌンガフ氷都市
キヌンガフは、人間の文明が急速に発展し始めた千年戦争の頃に建てられた都市で、元は龍族の旧市街があった場所であった。豊かな水と資源、有利な地形により、すぐにアトレイアで最も繁栄する都市となった。またオードの力が強い地域で、魔法の研究が盛んだった。
大崩壊の頃には、金色の都市キヌンガフと呼ばれるほどの全盛期を迎えたが、龍帝であるエレスギガルの攻撃を受けて一瞬にして凍りつき、その後に廃墟になった。人々はキヌンガフの神官であったエゼキエルが龍族の遺物に触れたことにより起こった事件だと囁いた。エリムの先祖の一つ、カサドラシルもエレスギガルの攻撃のために眠り、当時キヌンガフに住む人々もほとんどが死を迎え、幽霊となって彷徨っている。
エレスギガルの攻撃により凍結したキヌンガフ氷都市
・関連ページ :エレスギガル伝説
五龍帝中、序列4位のベリトラは闇と混沌を司る者であること以外はほとんど知られていない。暗闇の中で活動することを好み、世に自身が知られてることを好まない性格であったためと推定されている。
しかし、力を最高の価値と捉える龍族の本能を考えると、序列4位だったという事実だけでも、ベリトラの能力が決して平凡でないことが推測される。これを裏付ける証拠としてベルスランに落ちたベリトラの武器が周囲の環境と人間に及んだ惨劇が挙げられる。ベリトラの武器が落ちた状況については、歴史学者の間でも仮説が入り乱れ、学界で認められた定説はない。
ベルスラン ベスフェル幽霊村
ベスフェル幽霊村は、ベリトラの武器によって汚染され、大半の住民がアンデッドに変わった。
奥に見える巨大な構造物がベリトラの武器だとされる
・関連ページ : マナカルナ
序列5位のティアマトは五龍帝の中で最も遅く覚醒したことで知られている。だがドラカンの本能的な、力への欲望と怒りが強力であったと伝えられている。ティアマトの性格はミスランテイダと似ているが、ミスランテイダが戦闘そのものを楽しむ反面、ティアマトは戦闘の結果である血と殺戮、破壊を好む点で異なるとされている。誰よりも、十二柱神とディーヴァを憎悪し、ディーヴァとレギオンに多くの被害を与えた。大崩壊当時アイオンを攻撃する先鋒の役割を果たしたことで知られている。
かつて龍族の帝位をめぐり、ティアマトとすさまじく争ったが最後に敗れ、現在は
パシュマンディル寺院の下に封印されている。パシュマンディル寺院の中で見ることができる龍族はティアマトの部下で、生き残ったルドラの部下がルドラの封印を解かないよう守っているのだ。