一方、地上世界の戦争で敗北した反王ケンラウヘルは重傷を負いラスタバドへの亡命を図った。長老会を始めとする大多数の権力者たちが強く反対はしたが、当時最高の戦略家であったダンテスは彼を迎え入れるように命じた。それは地上侵攻への準備はすべて整っていたものの、決定的な媒体が無く出陣が遅れていた矢先、反王のラスタバドへの亡命により地上侵攻の妥当な理由ができるだけでなく、戦争の大義名分を確固たるものにするという思惑もあった。ついにダンテスはグルーディンの村への侵攻を始め、地上への戦争を布告した。
明らかにダンテスの政治的実力が際だった出来事であった。しかし、その時ダンテスは想像もしえなかっただろう。反王ケンラウヘルが魔族に接していたという事実を。既にケンラウヘルは死の敷居から悪魔族の契約のために新たなる肉体を手に入れていた。